コラム

 公開日: 2015-05-10 

被相続人に借金がある場合の遺産分割

マイナスの財産が多い場合、相続の放棄ができる

遺産相続では、不動産や預金といったプラスの財産のみが引き継がれるとは限りません。時には、借金といったマイナスの財産も引き継ぐことになります。しかし、多額の借金を相続しなければならないとなると、相続人にとっては非常に大きな負担になります。
もし、被相続人が亡くなった後に相続財産を調べて、プラスの財産より借金の方が多そうだとわかった場合、どうすればよいでしょうか。
このような場合には、相続の放棄(民法938条)を検討します。相続の放棄をすると、初めから相続人でなかったことになります。プラスの財産を得ることができなくなりますが、マイナスの財産も引き継がなくて済みます。被相続人に借金がある場合に有効です。

相続の放棄は、被相続人が亡くなってから3か月以内に

相続の放棄は、家庭裁判所で手続を行います。もっとも重要なことは、相続が開始したことを知ったときから3か月以内に手続きをしなければならないということです。四十九日が過ぎてから、遺産の処理を始めるご家庭が多くあります。こうなると、時間は限られたものとなります。選択肢を広くもつためにも、早めに財産の調査を始めることが重要です。
この期間が過ぎても相続の放棄が認められることもあります(最高裁昭和59年4月27日判決、判例タイムズ528号81頁など)。ただ、特別な条件が必要です。また、3か月という期間の延長が認められることもあります。財産調査のためには3か月では足りないということがよくあるからです。
また、相続によって得たプラスの財産の限りで、借金等を支払うという限定承認の制度もあります。ただ、マイナスの財産の方が多い場合には、相続の放棄をしてしまえば足りることが多いので、実際にはあまり利用されていません。

生前の相続放棄は不可。個々のケースに合った対策を

次に、被相続人の生前に、借金があることが分かった場合はどうすればよいでしょうか。この場合、その借金の処理は、やはり被相続人の意思でもって行うしかありません。法律上、将来相続人になるからといって、とやかく言うことはできません。相続が開始する前に、あらかじめ相続の放棄をしておくこともできません。それぞれのご家族をとりまく状況にもよりますが、生前に、被相続人の方が破産の申し立てをして、債務を整理した状態にしておくことも一つの方法です。費用との兼ね合いから、生前は債務を整理しないでおいて、将来亡くなられたときに、すみやかに相続放棄をするという方法も考えられます。

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