コラム

 公開日: 2015-05-11 

被相続人の介護、看護に努めた場合の遺産分割

介護や看護をしても、法定相続分は変わらない

例えば、被相続人Aには、きょうだい2人(BさんとCさん)の相続人がいるとします。Bさんは、就職後、地元を離れ、もう何十年も戻ってきていません。一方、Cさんは、長年、被相続人の介護や看護を行いました。介護に努めた相続人とそうではない相続人とで、相続分に違いは出るのでしょうか?
この場合も「法定相続分」は、それぞれ2分の1です。相続財産として、2000万円の預金があり、遺言がなければ、1000万円ずつ分配されることになります。しかし、このような結果では、不公平だと考える人も多くいるでしょう。Cさんが、施設に入れることなく被相続人の介護や看護を行ってきたからこそ、2000万円もの預金を残すことができた、という見方もできます。

特別の寄与が認められれば、特定の相続人の相続分が増える

このような場合、Cさんには、「寄与分」が認められることがあります。「寄与分」とは、共同相続人の中に、被相続人の財産の維持や増加に特別の寄与をした方がいる場合に、その方に、寄与に相当する財産を取得させることによって、相続人間の公平を図る制度です(民法904条の2)。つまり、CさんはBさんよりも多くの遺産を取得できる可能性があります。
寄与分についても、共同相続人間での話し合いでもって決着がつくのが理想です。もし決着がつかない場合には、家庭裁判所が審判によって決めます。ただし、「特別の寄与」によって相続財産が維持されたり、増加されたりした場合でなければ認められません。単に同居していたとか、通常期待される介護という程度では認められません。また、「寄与分」が認められるのは「相続人」に限られ、〝身内〟で多少なりとも助け合うことは当然のこととも考えられています。「寄与分」が認められるのは、相応にハードルが高いと考えおくべきでしょう。

確実に相続分を増やせるのは、遺言

以上を踏まえ、あなたが被相続人の立場であるとして考えてみましょう。もし自分が生前、懸命な看護や介護を受け、そこに感謝を示したいと思っても、寄与分が認められないことがあります。もし通常の相続分以上の財産を取得させたいと考えるなら、遺言を残しておくことがもっとも賢明な選択となるでしょう。ただ、被相続人が遺言で特定の相続人の寄与分について定めることはできないとされています。相続分や遺産分割方法の指定などをします。また、相続人間で禍根を残さないためにも、遺言が有効だと考えられます。

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