コラム

 公開日: 2015-05-15 

自筆証書遺言が無効になるケース

簡単に作成できるが、要件を欠いた遺言も多い

自筆証書遺言は、費用がかからない、いつでも書けるといった手軽さから、数多く利用されています。新たに作りなおすことが容易にできることも、浸透している理由でしょう。ただ、方式(民法で定められた要件)を欠く場合や、遺言能力の無い方による場合は無効となってしまいます。実際に、方式から外れたために無効になってしまうケースが多くあります。せっかく作成した遺言を無効にしないため、次のことに気をつけましょう。

自筆証書遺言では、3点の自書が基本

まず、自筆証書遺言は、自筆つまり「自書」しなければなりません。民法では、①遺言の全文、②作成した日付け、③氏名を、それぞれ自書して押印しなければならないとされています(民法968条)。訂正する場合にも、決まりがあります。まずは、これらの要件をみたしていなければ、遺言は無効になります。
また、「自書」が要件となっているため、タイプライターやワープロで書かれたものは無効になります。たとえ氏名の部分が自書されていても無効と判断されます。録音テープ、レコーダーに録音された遺言や、ビデオに録画された遺言も「自書」ではないため無効です。

こんなことも裁判の対象に…

その他に問題となった事例として、他人が「添え手」をして遺言をつくったという例があります。病気など個々の事情によって添え手で作成せざるを得ないこともあるため、添え手をした遺言すべてが「自書」の要件を欠いていると判断されるわけではありません。しかし、認められるのは非常に限定的です。
カーボン紙を用いて複写の方法で遺言が作られた例もあります。これについては、裁判所は、有効と判断しています。
そして、署名する氏名は、戸籍上の氏名と同一である必要はないと判断されています。通称、雅号、ペンネーム、芸名などであっても、その自書された署名が、遺言者と特定できるものであれば、有効な自筆証書遺言となります。また、苗字・名前を合わせて署名することが通常であり、望ましいものですが、どちらか一方の署名でも遺言者が特定できるならば有効となります。
日付けについては、年月日を確実に記しましょう。日付けに関し、「7月吉日」と書かれた遺言が裁判で争われた例があります。これは無効と判断されました。
形式的な要件をみたしていたとしても、遺言をした当時に、遺言する能力がなければ、遺言は無効となります。遺言する能力に影響を与えるものとして指摘されているものは、認知症から内臓疾患まで、多岐にわたります。

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